大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)1014号 判決

そこで、権利濫用の抗弁について判断する。≪証拠≫を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 本件土地は(1)から(7)までの七筆から成るが、そのうち(2)から(7)までの六筆は、いずれも一反歩ないし二反歩足らずの狭い土地であり、それぞれ離れ離れに存在し、鹿沼カントリークラブゴルフ場北コースの中央部、北部、南コースの北部に点在し、いずれもその各一部がホールの一部にかかっていて、これを除外するときは当該ホールの設計を相当変更しなければならない上に、これをゴルフ場以外の用途に使うことは極めて困難であり、ヘリコプターでも使用しない限りゴルフ場を通行しないでは外部から直接到達できない位置にある。

(二) これに反して(1)の一筆は、(2)から(7)までの土地とはまったく離れてゴルフ場南コースの南西端に位置し、直接ゴルフ場外の地域に外周の大半を接している。そうしてその地域は北コースの一七番ホールの全部と一六番ホールの一部南コースの一七番ホールの全部と、一五番、一六番ホールの各大部分、その他南コースの三ホールの各一部にまたがっている。

(三) 引受参加人は、本件土地を失うことを慮り、ゴルフ場の南側に用地の拡張を計画し、既にその手当を施しつつある。

以上に認定した事実によれば、引受参加人が本件土地を失うときは、既存のコースに相当広範囲な設計変更を加えねばならず、これによって受ける打撃は相当なものであることは、容易に理解することができる。しかしながら、本件土地のうち(1)の土地に関する限り、控訴人において直ちにゴルフ場以外の用途に使用することができるのであって、引受参加人側のこれまでの認定してきた諸事情は、控訴人の明渡請求を拒む事由とはなり難いと考える。

これに反して、本件土地のうち(2)から(7)までの土地は、控訴人が明渡を受けてみても引受参加人の承諾がない限りヘリコプターでも使わなければ到達できない場所にあり、しかもこれをゴルフ場以外の用途に使用することは至難のわざである。かような土地の明渡を求めることは、これによってなんら得るところはないから、いかに引受参加人側に手落があったにもせよ、いやがらせとみられてもやむを得ないであろう。その明渡請求は権利の濫用といわねばなるまい。

(古関 田中 川添万)

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